【文化財修理】現場や報告書で使われる独特な「言葉」


これから文化財修理等の現場に関わられる場合、文化財修理の現場や報告書等に使われている「言葉」に馴染みが薄く、戸惑うことがあると思います。

よく文化財修理の際に使われる言葉で、一般的な言葉の意味と比べると紛らわしいものなどを詳しくご紹介いたします。

1) その文化財建築の歴史における位置を示す言葉

まず、その建築が最初に建った時を「当初(とうしょ)」といい、途中で増改築が施された時を「中古(ちゅうこ)」といいます。

現代で使われる「中古」の意味と少し違いますから注意が必要です。

2) 文化財建築に使用されている材料を区別する言葉

建築当初から使われていた材料を「当初材(とうしょざい)」といい、建築が途中で増改築された時に使われた材料を「中古材(ちゅうこざい)」といいます。

また、「後補材(こうほざい)」という言葉も使われますが、「中古材」と同じ意味で使われています。

そして、「当初材」「中古材」の中に、「転用材(てんようざい)」かどうかという区別があります。

「転用材」には、三つの意味があり、一つ目は「他の建築物から転用したもの」、二つ目は「江戸時代の時には別の古い建物の材を転用していたもの」、三つ目は「同じ建物内で部位を変えて転用したもの」があります。

また、「転用材」の逆の意味で使用される「新補材」は、転用した材ではなく新しく用意した材のことです。

3) 解体修理の範囲を示す言葉

解体修理の方法を示す言葉は五種類あります。
一つ目は「解体修理」で、建物のすべての材料を一旦解体して再び組み立てます。

二つ目は「半解体修理」で、骨組みを残して屋根と壁を全て一旦解体して再び組み立てます。

三つ目は「部分修理」で、屋根と壁の一部を解体して再び組み立てます。

四つ目は「吹替修理」で、屋根のみの解体修理を行います。

五つ目は「塗装修理」で、漆や彩色などの塗り替えを行います。

例えば「半解体修理」において、一部でも壁を残した場合は、「半解体修理」と呼ばず「部分修理」となります。

4) 文化財を元の姿に戻す時に使う言葉

「ふくげん」という言葉に使用する漢字には二種類あります。

まず、今ある文化財建築物を修理して戻す際には「復原」といい、今ないものをもとの姿に戻すことを「復元」といいます。

この二種類の「ふくげん」に使用する漢字は、専門家の方は厳密に区別していますので注意が必要です。

以上のよく使われる「言葉」の意味を理解された上で「文化財修理」の現場に関わられると意思疎通が図りやすいと思いますので、ぜひご一読の上実務にお役立ていただければと思います。

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