【文化財修理】文化財における価値の見分け方N0.1


前回は、実際に文化財の修理を行う際に大切なことをお伝え致しました。今回は、文化財の建築を見る際に必要な価値の見分け方の中でも、「用材」に関して具体的にお伝えいたします。価値をきちんと理解することで、その文化財をより良い状態に保存・活用することが可能になります。

1) 用材が素晴らしい

まずは、使われている用材が素晴らしい点に着目します。

(1) 板材の幅

板材で、幅の広いもの(450mm)以上のものは残していきます。尚、幅910mmの一枚板は現在とれませんので非常に貴重です。

主に床の間のまわりに使用されておりますので注意深く観察してみてください。

(2) 板材の長いもの

主に長押として使われているもので、4間(約8m)あるものは貴重です。

また、廊下の板材で4間、5間級も貴重ですし、縁側の磨き丸太の桁で4間ある材料は非常に貴重です。そして、長い材料(4間以上)において、木材の元口、末口の径がほとんど一緒のものはかなり貴重となります。

広島県に元口、末口の径がほとんど同じにもかかわらず7間(約14m)のものもあります。尚、元口とは、丸太の根元の方を指し、逆に末口とは根元から遠い部分を指します。

基本的に木は、元口の径が大きく末口の径が小さいため、長い材料で元口と末口の径が同じくらいになるように育てるのは難しく、非常に貴重な材料と言えます。

(3)銘木

明治時代の後半から大正時代にかけて床の間のまわりに使用されている「銘木」をみてみると、主に3種類に分けられます。

まず一つ目は、「黒檀」「紫檀」(柿の種類)という外国からの輸入木が使用されています。二つ目は「鉄刀木(たがやさん)」で、色はこげ茶、年輪がなく、縦筋が入っています。

とても硬く、金属用のノコで切らないと切れません。三つ目は、「ビンロウ」です。椰子の木の種類で、鉄刀木より縦筋が多いのが特長です。

大正時代になると、人工南洋材が使われています。正面から見ると分かりにくいですが、戸袋などを開けて内側をみると天然か人工かがわかります。現在となっては、人造銘木は手間暇がかかるため、非常に貴重です。

江戸時代や明治時代には「屋久杉」が天井に使われていることがあります。全体的に黒っぽく、木目はくっきりはっきりしており、さざ波を打っているのでよくわかります。しかしながら、現在は使えませんので貴重です。

以上のように、文化財における「用材」の価値の見分け方には大きく分けて3つの視点があります。

これらを踏まえてより良い状態で文化財が修理・活用されますよう、実務にお役立いただければと思います。

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