書庫の設計-書架形式


現在、国立公文書館新館の計画が進行中ですが、このような書庫機能を担う施設において、必要な収蔵能力をどのような方法で確保するかは、設計上の大きなポイントです。
今回は、書庫設計において重要な、書架形式に関してご紹介します。

1)おもな書架形式の種類と特徴

(1)固定書架

書架を一定間隔で固定配置する、最も基本的な書架形式です。
書架間の作業通路が常に確保されていますので、資料の出納がしやすく、利用頻度の高い資料の収蔵に適します。

他の書架形式と比較して設置費は安く維持費もほとんどかかりませんが、単位床面積当たりの収蔵効率は低くなります。

(2)集密書架

単位床面積当たりの収蔵効率を高めるため、可動システムを持つ書架を隙間なく配置し、必要に応じて書架を移動させ作業通路を確保する書架形式です。書架移動の方法として、手動式と電動式があります。

書架移動が必要ですので、資料の出納は固定書架と比べれば手間がかかり、どちらかと言えば利用頻度の低い資料の収蔵に適します。

単位収蔵量あたりの設置費は固定書架より一般的に高くなります。また、電動式とする場合は、維持費も考慮する必要があります。

(3)自動書架(自動書庫)

資料の入ったコンテナを、収納ラックからコンピュータ制御の走行クレーンにより自動で出納するシステムです。多くの場合、収蔵効率を高めるため収納ラックは高くつくられ、吹抜空間等に設置されます。

高い収蔵効率と出納の省力化を目的に採用されます。
単位収蔵量あたりの設置費、維持費とも、他の書架形式と比較し、一般的に高額となります。

2)書庫設計において、なぜ書架形式の選定が重要か

(1)必要な空間ボリュームに影響します

例えば、おなじ1万冊の資料を収蔵するためでも、固定書架を採用する場合と集密書架の場合では必要な床面積が異なります。

自動書架を採用する場合は、床面積は集約できますが高さが必要になります(なお、建築基準法上の延べ面積の算定には高さ5mごとに仮想床があるものとして計上する必要があります)。

(2)構造計画に影響します

例えば、集密書架を主体とした書庫の場合、一般的な書庫の1.5倍程度の床荷重を見る必要があるなど、採用する書架形式によって積載荷重が変わります。

また、書架形式による配置上の特性と、柱の位置関係を合理的に整合させることが望ましいので、建築構造体のスパンに影響します。

(3)建設コストに影響します

書庫の空間ボリュームや仕様は、採用する書架形式に左右されますので、建築に関わるコストに影響します。

書架形式別のコストを比較検討する際には、書架に関わるコストと書庫部分の建築に関わるコストをセットで考慮する必要があります。

以上、書架形式に関して紹介させていただきました。

書庫を有する施設にとって、増加し続ける収蔵資料への対策は大きな課題であり、増築計画も多く聞かれます。

実務等において参考になる部分がございましたら、ぜひご活用ください。

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